[#Cloud #クラウド ]2011年はPaaSの年:CloudFoundryがPaaSの新たな時代を開く意味

2011年はPaaSの年、と表明している分析が多く登場している。

PaaSが大きな変化/成長を遂げる、という根拠は次の様な内容に纏められる。
  1. Force.com, Azure, GoogleAppsの様な既存の主流のPaaSは、特定のプラットホームに限定される、という問題がある。これはアプリ開発環境のみならず、運用環境もロックインされる、というIaaS事業社の戦略に依存している、という構造的な要因に基づく。
  2. これは、IaaSやSaaSと比較してPaaS自体のビジネスモデルが市場において成立していなかった為に、IaaSベンダーが主体となって、自社のプラットホームに開発者を引き込む為の戦略としてPaaSが利用されていた、という背景がある。
  3. PaaS自体は、主としてオープンソフトウェアのコミュニティによって支えられており、このコミュニティがプラットホームに限定されない開発環境の構築に向けて具体的に動き出した、という変化が起きている。

小生は、これにもう一点、分析を加えたい、と思う。
クラウド業界は大きく分けて、SaaSの世界と、IaaSの世界の2つの領域で構成されている、と解釈しており、PaaSの成長によって、両者が統合された真のクラウド環境が今後構築されてくる、と考えている。まずはプラットホーム(ハード、OS、VM、アプリサービス)から独立したPaaSソリューションの登場が条件になります。さらに、そのPaaSにおいて、成立しうる独立したビジネスモデルが存在する、というのが次の要件である。
このコンセプトについては、別途ブログを通して詳しく説明したい、と思う。

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PaaS-IaaS-SaaS.pdf (548 KB)
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上記のコンセプトの第一段階を達成しようとしている動きが最近顕著になってきているので、最近VMWareが発表したCloudFoundryは、想像通り業界に大きい反響を起こしている。これは、従来のPaaS関連の各社が自社のプラットホームへのロックインを目的としてPaaSを提供する市場に対して、プラットホームに依存しない、PaaS環境を提供した、という本格的な動きである、と評価されているからである。

ここ数年、PaaSの市場は非常に活発で、Salesforce (force.com)Microsoft (Azure)Google (AppEngine)Heroku (SF.comが買収)、EngineYard 等の動きが非常に注目されている。今後クラウドアプリケーションを開発するにあたり、どのPaaSを選ぶべきか、というのが議論の多くにあげられ、各社の比較等の記事、分析が多く登場している。同時に問題視されていたのは、どのPaaSを選択するにしても、特定のIaaSプラットホームに限定されてしまう、という点であった。結果的に、PaaSを選択するのではなく、それを運用しているIaaS業者を選択する事が課題になっていた。

VMWare CloudFoundry

Picture1

 

この動きに大きな変化を与える事になるのがCloudFoundryのコンセプトである。
次の絵がCloudFoundryのコンセプトである。

 

Picture 22

3つのキーポイントが発表と共に列挙されている。
  • 複数の言語サポート:最初はSpring(Java言語)、Rails、node.js、の3つ。今後、Python、PHPも追加する計画を表明している。データ管理インタフェースとしてMongoDB、MySQL、Redisがサポートされている。
  • オープンソース化:このCloudFoundryプラットホームはApache経由で無償で配布される。MySQLの様にGPLでは無い、という点が非常に興味深い。クラウドプラットホームを提供するベンダーとしては、無償でCloudFoundryを自社のIaaS上に搭載し、提供する事が可能になる。
  • 複数のプラットホーム:既にvCloudとvSphere上で稼働するが、今後他のクラウドプラットホームにてサポートされる予定。さらにMicroCloudと呼び、USBで持ち運び出来るCloudFoundry環境も提供される。最後に、企業向けのプライベートクラウドに対しては、VMWareが有償で実装/保守するSIサービスを提供する、と表明している。

この動きによって、いくつかVMWareの事業戦略に対して影響が出るものがある、と考えられている。

  1. Salesforce.comと協業を発表している、vForce戦略に大きな影響を与える事は必至。SF.comのHerokuの買収や、今回のCloudFoundryがJavaとRuby-on-Railsを最初からサポートしている点からも、両社のPaaS関連の協業状況は、既にかなり冷えきっていた、と分析するところも多い。
  2. 従来からのソフトウェアライセンスベースの事業モデルにこのオープンソフトウェアの事業が追加される事になる。プライベートクラウド向けの有償のCloudFoundry事業以外にVMWareとして収益を有無事業がCloudFoundryに登場すればいいが、もしプライベートクラウド事業Onlyという事であれば、この戦略が計画通り売れてくれないと、VMWareとしては維持が難しくなってくる。既にEMC(VMWareの親会社)はMozyと呼ばれるクラウドストレージサービスを撤収している。パートナーベンダーの提供するクラウドストレージと競合する事業は持続できない、というのが理由の様である。
  3. 前述のSalesforce.comのForce.comに加え、Microsoft(Azure)、Google(AppEngine)を始め、主要なPaaS事業社とは本格的に競合関係になる。これらのベンダーにはCloudFoundryを搭載してもらう事がCloudFoundryの本質的な目的ではあるため、果たしてこの競合関係がそれを邪魔するかどうかは、まだ不明である。

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鈴木 逸平

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